クリエーション プロジェクト の目的  戻る

 

工学は社会/組織そして個人に,より大きな豊かさと快適さを実現する使命があります.このプロジェクトの目的は,システムとソフトについてプロセスを中心とする技術を確立し,皆様とご一緒に,これを普及させることです.システムとは,一般に

  実現の目処が立たない --- 困難度が高い/複雑度が高い --- ソフトウエアと

  ようなもの       /大規模なもの     ハードウエアを含むもの

等を意味します.純ハードウエアとそのシステムの対処の道は,既に各工学やシステム工学で確立済ですから,上記のソフトウエアあるいは組込システムが残ります.

純ハードウエアとそのシステムは,今光輝く全盛期にあります.それは人類の歴史の始から孜孜営々と万年の桁の期間の技術の蓄積の上に立ちます.中でも1段と輝く技術は, 19世紀末から進展したIndustrial Engineering, (IE), 経営工学です.これは,名のようにIndustryあるいは,生産性向上とか作業期間短縮等,経営に直接貢献するように働きます.この特色は,ユニット仕様書を入力としてハード側はボード,ソフト側はソースと云った成果物を分担する等,外部的な視点で管理して個々の内部に立入らず,如何なる対象にも適用可能なことです.向上のメカニズムは,ムリ・ムダ・ムラの追放から始り,常に原因を調べ,再発を防止するとか,問題のプロセスを作らない等の先手管理を進め,ある段階から全て定量的な計測結果で改善処置を進めます.ヒトの作業を単純化し標準化して作業を自動機械で行わせます.全員が向上/改善を指向するので,管理者は諸事の事前のアレンジに奔走し,経営者は自工場の設備を如何に向上するか,如何なる製品でヒトのニーズを掘起すかの研究開発に頭を悩まし,組織の全員が高いモラール(志気)で業務に挑戦するよう腐心します.

ここに列挙したことは,全てprocessの管理であり,その管理に沿って全員が各所で「知」を集積します.自動車産業でGMは74年,世界のトップでした.今,トヨタがGMに肉薄しています.このトヨタの躍進は,トップから第一線の人々,即ち総員の改善/向上努力の成果です.他にも今の日本で急進展している会社は,幅の違いがありますが,殆どが総員の改善/向上努力が結実している会社です.次の時代は「知」の時代と云いますが,「知」の時代に一挙に突入するのではありません.モノ中心の今でも既に,勝敗の鍵は「知」に変わっています.「知」の時代は,より顕著になります.

今迄は,経験をベースとして改善を積重ねました.私達は,ヒトに倣ってソフトウエアを自動設計する研究を通じて,知のモデルやメカニズムを知りました.これは前項の永年の各種の「知」の集積であり,それらはモデルやメカニズムから,より容易より効果的に実用化できます.私達の提案は,最終的な目的に向けて総員が一歩づつ確実な向上をはかろうと云うものです.

第一歩は,対象であるモノとプロセスの両者について,

  1.定量的に計測する 2.作業の進捗から系統的な傾向を引出す

から始め,各人は自分の作業の小さなループから,チームは纏まった作業結果から,

  3.対象と工程を定量評価する 

  4.ムダ・ムリ・ムラの追放から,欠陥の再発防止,更に向上の策定

 へと,進みたく思います.皆様の忌憚無いご意見/質問を歓迎します.

 

2007年 3月

代表 河野 善彌